日本に外貨準備は必要あるのか

変動相場制の日本に外貨準備は必要ない

日本の外貨準備は政府の介入資金を管理する外国為替特別会計(外為特会)で運営されている。これはいわば世界最大の円キャリーファンドといっていいだろう。低金利の円を市場から調達し、やや金利の高い米国債で運用しているからだ。財務省による収益性の低い巨額の外債財テクともいえる。

介入を継続々している日本

日本の外貨準備が積み上がる仕租みはこうだ。まず、政府が外国為替資金証券という返済期限が3ヵ月から6ヵ月の政府短期証券(短期国債)を発行し、これを公募入札で金融機関に販売。もし売れ残ったら日銀が引き受ける。この調達した円で米国債などの外債を購入する。

 

外貨準備は、約7割が米国債で運用されている。2009年度末の外為特会の残高によれば、外貨資産89兆1460億円のうち、外国債券は81兆9692億円に達する。その内訳は1年以下の短期債と1年超5年以下の中期債で全体の74.3%を占め、残り25.7%が5年超の長期債となっている。

 

政府短期証券は3〜6ヵ月の返済期限が来たら、また借り換える。米国債も5年なら5年の償還期が来たら、円に交換することなく、利子分を含めて米国債を買い換える。つまり、国の借金をロールオーバー(借り換え)しながら、米国債を買い続けているのである。

 

米国債の利子で円に交換せず、持ち続けているのはなぜか。それは利子であれ、ドルを円に転換するという行為が、政府による逆介入(円買い・ドル売―介入)となり、「円高を招く懸念がある」と考えているからだ。しかし、本来、政府による介入は為替レートが一時的に行き過ぎた水準にあるとき、市場に冷や水を浴びせるために行っているのであるから、市場が落ち着きを取り戻したら、資金を回収すればよい。つまり米国債の償還期が来たら、円に戻し、国の債務を返済すればいい。それをせずに残高を維持し続けていては、変動相場制の先進国から、「意図的に介入を続けている」と批判されても仕方ない。日本が介入した時の外貨準備を維持し続けている行為は、先進国が集まる国際会議の場では説明しづらいものだ。

モノ言わぬ株主

現在までにこの日本の行為が問題にされていないのは、米国に不都合がないからだ。国際金融上の様々なルール、原則は、米国に不都合がないときは問題視されない。日本と同じく巨額の外貨準備を米国債で保有している中国が、米国から度々「為替操作」で非難されるのは、米国にとって不都合があるからだ(最近の政治情勢では中国の「為替操作国の認定」は見送られている)。

 

米財務省の国別米国債保有残高によれば、米国を含む世界に流通する米国債の総額約9兆げのうち、外国保有分は年3月末で約4兆5000億ドル。このうち中国が1兆1400億ドル、日本が9000億ドル(日本は民間保有を含む)と、海外保有分の約半分を日中が占めている。

 

この米国の巨額の赤字を米国債購入という形でFXファイナンスしている状態には、「持ってもらわないと困るが、持たれ過ぎるのも困る」という両義的な側面がある。中国が米国から度々。為替操作と非難されるのは、中国が大量の米国債保有の増減を外交交渉に使っているからと考えられる。

 

一方で、日本が米国から批判されないのは、中国に次ぐ米国債の保有国でありながら、「モノ言わぬ株主」という態度を貫いているからだ。日本が巨額の外貨準備を米国債で持ち続けている背景には、この日米の微妙な力関係も作用している。

外国為替市場(FX)は、NY時間後半に各通貨が急速にリバウンドした動きの反動で早朝にはユーロ円などが反落して取引を開始しているものの、米株の切り替えしがアジア株式市場に波及すると、再びリスク回避の巻き戻しの動きが活発化すると考えられる。昨晩の大きな混乱の要因となったベルギー金融機関のデクシアに対する支援が迅速に発表されており、更には英FT紙で欧州金融機関への資本注入がEUによってなされているとの観測報道もあり、金融市場混乱への懸念が薄らぎ始めていると考えられるからだ。